2008年7月24日木曜日

端麗極涼拠点レンスー会


暑い暑い夏がやって来ました。そして遠くからも近くからも素敵なメンバーが集まって来ます。中には参加費よりも往復の交通費の方が高い方もいます。それだけにレンスーは必然的に熱心にならざるを得ません。もちろんそれほど交通費のかからない近くからのメンバーもみんなみんな熱心です。
レンスー会はいつもいつも同じような場所で同じようなことを繰り返しています。しかし、誰もが少しずつ少しずつ進歩前進していってます。一見同じことの繰り返しのように見えますが、確実に1回毎に何らかの前進をしています。それを本人が自覚しようがしまいが、レンスーをすればするほど水とのコンタクトは上昇し、カヤックの操作は上手くなることはあっても下手になることはありません。
カヤックを始めて間もない西脇さんは、まだ参加回数が10回に到達していません。しかし1日のレンスー量は誰よりも多く、いつも真剣勝負の表情です。そして、少し進歩を実感する度に、「楽しい」を繰り返しています。ワタクス自身の経験を持ちだして恐縮ですが、カヤックを始めてロール初上がりまで、約5~6年かかっています。ロール練習を始めてから3年でやっと初上がりを経験しています。それからシャフトロールができるようになるまでに、多分3~4年はかかっていると思います。つまりカヤックを始めてシャフトロール完成までに約10年くらいかかっている訳ですが、それを西脇さんは、約7日間でマスターされています。
ワタクスはいつも考えていることは、自分がある技術を習得するのに5年も10年もかかったとしても、それをできるだけ早く覚えて頂きたいと言うことです。 ロールを覚えるのに3年もかかったんだから、当然習いに来た人にも最低3年は練習をして貰いたいとは全く考えていません。しかし、実際には長年かかって習得した技術を、そうやすやすと人に教えてなるものかとお考えの諸氏もいるようです。誰が見ても3年かかった技術をたったの1日で教えることの方が、当然指導者としては優れているわけですから、少々性格が悪かろうが、習う側はどちらを選択するかは、明らかでしょう。

実証系シーカヤックスクールで新しい指導が誕生するのは、どういうときか?だいたい偶然が多いですが、今年もふたつ大きな前進がありました。たまたまある道具を作って、と言っても大したモノではありませんが、それを使って貰っている内に、ふとこんなことをやって貰おうと指示してやって貰ったらそれが非常に上手くいきました。偶然ではありますが、過去の積み重ねの上に成り立つ必然的偶然でした。今回上記G教授とのレンスー会でのやり取りの中で、これまた偶然ではありますが、「~を見る」から「~にアゴを向ける」という表現上の違いで、指導効率がグ~ンと上がることを認識しました。しかし、これもこれまでの指導歴史の中での大発見でした。仕事の関係で、なかなかフルでの2日参加は難しい田中さんは、夕方からの参加でキャンプして、翌日お昼過ぎまでの時間帯で一緒に楽しました。この日も熱烈なるレンスーを繰り広げておられました。このところのレンスー会が盛り上がって来ていているのは、この田中さんの存在は無視できません。失敗が連続すると、まるでそれを楽しむが如きたたき台にするが如き猛烈レンスーモードに突入して良い意味で「残念な気持ち」で後ろを振り返りません。また上手くいくと、それはそれでガンガン前に進んで行くわけです。こうしたプラス思考の人達が集まって来ると、周りも自然にそう言う空気になって行くような気がします。 やはりこの方もこのところ仕事が厳しく休みも丸々取れない。しかし、その忙しさの合間を縫ってレンスー会に顔を出して頂きました。久々とあって、午前中は動きが悪く全体としてぎくしゃくしている感じでしたが、昼食前まら急に俊敏な動きを取り戻し、いつの間にやらハンドロールもバンバン上がっていました。どうしたの?って尋ねると、何故だか知らないけれども、ダブルハンドでも上がるようになってしまいました、と。この度突然変異的に正規のハンドが上がるようになったけれども、それはやはり過去の蓄積があっての「突然」だったと思うのです。

昼食後はさすがに睡魔に襲われます。木陰で横になるや否や皆さん眠りに落ちて行きました。このカメラアングルを作ったところでワタスも知らぬ間に眠りに落ちてしまいました。ほんの1時間ほどの仮眠ですが、自然の懐に抱かれての午睡は現代人にとっては非常に貴重な体験ではないかと思います。午前中にしっかりレンスーをした様子が、この写真には出ていると思いますが、拠点レンスー会の楽しみのひとつでもあります。

拠点講習会&レンスー会には、何の縛りもありません。食事をする人もレンスーする人も休憩する人も、思い思いのスタイルで楽しんで行けば良いわけです。もちろん昼間からビールなどのアルコールは問題外ですが、疲れたら休憩し、元気を回復したらまたレンスーをしていけば良いし、ちょっとその辺を漕ぎに行っても良い。少しずつレンスーしても早朝から夕方までやれば、合計の時間はかなりの量になります。カヤックを始めて間もない岩の上の脇田さんは、このレンスー会でまた大いなる飛躍を遂げました。そして初キャンプも、スムースに体験でき、秋の海洋トレッキングに向けてのレンスーに余念がありません。

この度の拠点講習会&レンスー会もあっという間に終了してしまいました。同じことの繰り返しの中で色々なことを発見していくプロセスこそ実証系の活動の中で最も重要なことだと思います。周りから見たら、アイツら同じことばかりやって何が楽しいのだろうか?とか同じ場所でロールの練習ばかりやって何故ツアーに出かけないのだろうか?とか、こうした活動にあまり意義を感じない方も多々おられることでしょう。しかし、繰り返しのレンスー会の意味は、何もカヤッキングの技術を高めることだけが目的ではないと言うことも知って頂ければ幸いです。

最後にラックの竹ちゃんの写真が僅かに1枚ここにあるだけです。沖合でレンスーをしていて、撮影するチャンスを失ってしまいました。次回は華麗なるハンドロールの動画を撮らせて頂きます。

どうもご参加の皆様、有り難うございました。