2011年8月30日火曜日

ロールは1種類でいいのか?

ワタシがカヤックを始めた頃は、ロールができる人が本当に少なかった。ワタシの周りには一人もいなかった。それができると神業のように思えた。物凄い技術力のある人だと勝手に思ったものだ。しかし最近では、ごく普通の技術のように普及してきたように思う。ただまだ誰でもができる技術には至ってはいないが、それでも多くの人ができるようになってきたし、ロール教室の看板を上げているところは当たり前になってきた。それは良いことではないかと思うのだが、しかし実際に気合を入れて指導をしている所は少ないようにも思える。

実際のところ商売としてロール教室を考えると、あまり儲かる分野ではないかも知れないが、そう考えたときに、実はこのロール教室はある意味で商売の邪魔になっているのかも知れない。もちろんワタシはそんな風に考えたことは一度もないが・・・。ロールを習いに来た「お客さん」にロールは1種類でいいですよって言うイントラがいるとすれば、本心は「そんな面倒くさいことしないで、ツアーに行きましょう!」って、「その方がお互いに楽だし、一度に沢山の参加者を擁することができる」ので商売も成り立つことになる。

最近はシーカヤックスクールと言う言葉を掲げているところが本当に多くなったもんだと感心するが、スクールと言う言葉は使えない、使うべきでないところが掲げているとしたら、ロールは1種類でいいよ・・・なんてことになってしまうのかも知れないね!別に1種類でも本当に確実にできるのなら、まぁそれはそれでもいいとは思うけれどね!

ただその辺のところを少し詳しく考察してみると、一般の個人がそう考えるのは一向に構わないが、人に操作方法を指導したり、指導者を養成するようなイントラがもしそんなことを考えたり言っているとしたら、「失格」以外のナニモノでもない。

ロール1種類というときに恐らく、片側ロールの1種類をさして言っていると思われるが、それも多分ショートロール1種類ではないか。恐らく左右のロールは必要ない・・・と考えているのかも知れない。

穏やかな海であれば、右ロールが1種類確実にできれば特に問題ないが、波や風や潮流や転覆した場所によっては、左側からしかできないときもある。もちろん、稀なケースではあるが、実際にそういう反対側のロールでしか上がれない状況もある。波打ち際などで撃沈したときなどは、上がってくる側を選択できないケースがある。そうした状況を想定したときに、「ロールは1種類でいいよ」っては指導者としては絶対に言えない。

また他のパドリング技術を習得練習をしているとき、例えばドローストロークやハイブレイスなど、これらは左右確実にできた方が良いが、左側の練習をしているときに失敗をしてドブンとなればロールが役立ちますよね!左のロールができれば、もっと役に立ちますよね!水の中で一回転しなくていいですからね!ロール1種類でいいよって言う方は、きっとこんなドローとかハイブレイスなどはほとんどやらないんでしょうね!

水とのコンタクト考えるときに、「1種類ロール」のことを想起すると、最初から何かを放棄しているようにしかワタシには思えない。カヤックに乗ってこれでもかこれでもかと練習を積み重ねて来た方の言葉とは到底思えない。

続く