2011年3月30日水曜日

唄いたいなら唄えば良い!

やっぱりちょっと書いておこう。関東東北大震災で想像を絶する被害が出ている中で、活力を与えるとか何とか格好の良いことをほざいているヤツがいる。歌を唄いたいなら唄えば良い。踊りを踊りたいなら踊れば良い。大酒を食らいたければ食らえば良い。遊びほうけたいなら遊べば良い。しかしそれを人に押しつけるな!とワタシは申し上げたい。

娯楽を提供することを職業にしている方々には、恐らく今度の大震災によって売り上げは相当落ち込んでいるのは間違いないでしょう。売り上げが落ち込み事務所などの家賃の支払いさえ苦しい状況に追い込まれているところもあるでしょう。震災の影響で予定していたイヴェントが次々に中止になると、その日の売り上げは当然無くなる。それが何日にも続けば大きな収入減少になる。

収入減少になって経営が苦しくなるから、「こんな時こそ、歌を唄って元気を・・・」と叫びたい気持ちは分からないではないが、それを第三者に強要するようでは、見え透いた浅はかな心が浮かび上がるだけ。しかし基本的にワタシはまだそんな状況ではないと考える。

家もなくなり車は流されその上職場も消失して、更に身内を亡くした人に一体どんな歌を唄えば活力が与えられるのですかね!「上を向いて歩こう」でも唄えば、そうした人達の元気が出るとでも思っているのでしょうかね?!

この大震災後に予定していたコンサートを中止したアーチストの悪口を言う人がいるのを知ってワタシは愕然としている。一体どんな脳みそを持っているのだろうかと不思議でならない。何やらネット上でもこんな時こそ大いにイヴェントをやるべきだと大声で叫んでいる人もいるようだが、やりたいヤツはやれば良い。但しそれを第三者に押しつけるのはやめろ!と申し上げたい。

新聞でもテレビでもネットでも被災者の惨憺たる状況が伝えられている。ここで一々説明する必要は全くないが、例えば、家も全壊し妻も子供も亡くし茫然自失の中年男性のことを考えながら、一体どんな歌が唄えるのだろうか?!また両親も親戚も亡くなったたったひとりぼっちの小学生のことを考えながら、一体どんな歌が唄えるのだろうか?!食事もロクにできず風呂にも入れず寒い夜を避難所で過ごしている人達を元気づける歌があるのでしょうか?!

腹が減って身体が痒く震えているときに、満腹になり身体がスッキリして暖かくなる歌があるなら朝から晩まで現地へ行って唄えば良い。しかし現地へ行けば、そんなモノよりももっと他に必要なことが山ほどあるはず。それが分からないのは、普通の想像力さえ持ち合わせていないということを物語っているのでは・・・。その普通の想像力さえ働かない想像力で作った歌を被災者が聴いたところで恐らく何の糧にもならないに違いない。

断っておきますが、ここで申し上げたいのは、チャリティコンサートなどについてやれとかやるなとかそういうことを申し上げているのはない。また被災者を元気づけをしたいと利益抜きで考えている方々のことを対象にしている訳でもない。コンサートを中止したアーチストの気持ちを全く無視して、中止したそのことを非難している人がいるので、それはおかしいやろ・・・と申し上げたいだけなのである。毎日、新聞やテレビの情報を見て普通の想像力を持っていれば、そんなことは言えないはずだが、第三者に強要するようでは、想像力の欠如どころではなく人間失格という他はない。