2008年8月26日火曜日

夏季蜜楽技術講習会<無人島拠点レンスー会>その1





8月も後半に入り、少しく涼しくなり、水に浸かったあと風でも吹くとパドリングジャケットが必要になって来ました。お盆も過ぎて纏まったお休みも取れないだろうから、人もそれほど集まらないだろうと予想していましたが、とても賑やかな拠点講習会となりました。ご参加の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
集まって頂いた方々の習得目標は、技術面では色々でした。ロングRを覚えたばかりの方数名、ショートRはできるが、安定した内容までには至っていない方数名、パドルバランスやフロートバランスからのリカバリーをレンスーされる方が数名、ハンドRからフロントシャフトへ発展を試みる方が数名、またフロントロングなどの前傾系の技術に移行しようとしている方が数名集まって、キャンプや無人島の環境を味わいながら、ゆっくりノンビリと楽しんで頂きました。

上記写真を見て頂いたら、一瞬我々もグリンランダーの真似事をしているように思われるかも知れませんが、カヤックもパドルもそれとは違っています。まず我々はスキンカヤックを使っていません。またパドルもウッドパドルを使用していますが、グリンランドパドルでは全然ありません。この角度からバラキさんのカヤックを見るとまるでグリンランドカヤックのように見えますが、全く普通のシーカヤックです。
約2ヶ月のブランクの間に、カヤックデッキに改良を加えて登場のウイスパー氏は、まるでブランクを感じさせない動きで、ほぼ初期段階を脱出されました。レンスーの方法も大切ですが、カヤックの形状も非常に重要であるということが、3回のスクーリングで充分過ぎるほど認識されたのではないでしょうか!4回目は次のステップへ突入したいと思います。
纏まったお休みが取れるときには、拠点講習会には必ずご参加の琵琶湖支部長のレンスー内容は、確実に技術進歩に結びついています。前回はアゴ、今回はパドルF、そして次回はSFへと着実に階段を登っていかれることはマチガイナイと思います。そして、ゆっくり着実に進歩していかれる方を、ゆっくり着実におつき合いをすることで、新しい指導法もまた生まれて来ます。8月の日程をほぼ毎回初級ツアーに費やしていてスクールを名乗るところもあるが、それはお金儲けにはなるかも知れないが、そこにカヤックの技術指導の何かを期待することは非常に困難ではなかろうか。ましてや指導者養成とか認定などは、以てのほかではなかろうか!海との良好な関係を築く為には、あるいは技術向上の為には、とにかく熱心にレンスーされる方とのおつき合いを大切にする中で、お互いの目的が達成されながら形成されていくものと思います。
拠点講習会&レンスー会の楽しみのひとつがキャンプです。みんなと共に食事を作り、共にお酒やお茶を飲み、思い思いの話題を提供して、それぞれの考えが行き交ういわば自然発生的交流会になっていきます。お互いの少しずつの飲み物や食べ物を出し合って豊かな食事会になることもあります。時にホテルや民宿を利用することもないことはないですが、キャンプ生活をしなくてシーカヤックを語ることはできないと、ワタクスは考えています。

一回カヤックに乗ったらなかなか降りて来ない香川の大山さんは、ハンドRまであと一歩。完成までの道のりは、「練習」ではなく「レンスー」あるのみ。しかしそのレンスーでさえ後数回で、目標達成と予測しています。ハンドRで一番難しいのは、その上がり方ではなく、人生の中で如何に海に出られる回数を増やせるか?ではないかと、自分自身を振り返ってそう思います。
香川支部長のラサのボトムが国連の前事務総長の名前のような音がした。「ガリッ!」って。それを点検せんと裏返したところへ他の者が集まって来て、ボトム談義が始まった。全然キズらしきキズが入ってなくて、さすがノーライトデザイン社製のカヤックは素晴らしいとその良さを再認識。以前使っていたカヤックは、数年もするとすぐにボトム表面塗装が剥がれて、グラス繊維がすぐに顔を出していたのを思い出す。
レディース用キャブラックを持って「これは凄い」を連発して、遊びまくる香川支部長の身体の柔らかさと筋力は並みでは決してない。とにかくこの方の元気はどこから出て来るのか知らないが、カヤックに乗ったらいつもボトムが空を向いているし、浜に上がったかと思うとすぐにアザラシのように海に出て泳いでいる姿しか印象にない。そして常に前向きプラス思考は、誰もが知るところ。今回もまた大いなる進歩を体感して頂いたようです。
8月の前半は、限度を超えた暑さが続いていましたが、それでも無人島でのキャンプやレンスーはほぼ快適と言って良い状況でした。島ではエアコンも扇風機もないのに、さほど暑いとは感じないのに、ひとたび事務所に復帰すると、もうエアコンなしではやっていけない。アスファルトにマンションのセメント、車の排ガスにエアコンの室外機から出る熱風などなどによって、人が住む町は異常な暑さに包まれている。地球温暖化と言われてはいるが、水で囲まれている島は、すべてとは言わないが基本的に涼しい。キャンプするには有り難い場所です。
この無人島レンスー会への参加は、基本的にこうでなければならないという決まりはなく、参加日程など各自が自由に決めて頂いて結構。レンスー時間も特に強制はしません。そして技術指導に関しては、習得するための論理よりも、習得するための方法を指導します。もちろん論理は基本的に重要ですが、それだけでは習得に時間がかかってしまいます。色々なパドリング技術がありますが、ひとつの技術を習得するのに、その技術ばかりを口を酸っぱくして説明するのではなく、そこに至る練習プロセスを実践して頂くことで、よりスムーズな習得が可能になります。ハンドRなども、同じくハンドRをレンスーするのではなく、そこに至るプロセスをレンスーして頂くという方法は、実証系ならではの指導法ではないかと思います。
続く